20130224Fuji1

エクセルのグラフで学ぶ気象学0039


簡易エマグラムを描く

 これまで、エマグラムに記入されている等飽和混合比線、乾燥断熱線、湿潤断熱線をエクセルで描いてきた。これらの線をまとめて一つのグラフに記入すれば、エマグラムは完成する。ただ、これまでも、たくさんの計算結果を、エクセルで一度に思い通りのグラフに仕上げることは難しい場合があった。このことから、複数の種類の計算結果をまとめて一つのグラフに仕上げることは難しそうである。

 とりあえず、線の本数を減らし、計算結果を数値コピーしてまとめて作成したシートを用いて作成したエマグラムを以下に示す。

ThermoDiagram01.jpg"

 点線で描かれたものが等飽和混合比線で、g/kgの単位で示した値が、グラフの上端に示してある。実線で描かれたものが乾燥断熱線で、-20 ℃から60 ℃まで、20 ℃間隔で描いている。破線で描かれたものが湿潤断熱線で、これも-20 ℃から60 ℃まで、20 ℃間隔で描いている。

   乾燥断熱線が1000 hPaと交わる点の温度が温位に相当し、湿潤断熱線が1000 hPaと交わる点の温度が湿球温位に相当する。通常はこれらの値は絶対温度で表示されるが、ここでは摂氏温度の線が描かれている。

 軸が線形目盛りの場合には、補助目盛線の間隔を細かくできるが、軸が対数目盛りの場合には、補助目盛線の間隔を細かくすることができないので、このエマグラムの実用性は高いとは言えない。また、縦軸の範囲を10の乗数に選ばないと、補助目盛線の間隔がさらに粗らくなってしまう。そこで、上に示したグラフを部分的に切り取って拡大したものが、下のグラフである。

ThermoDiagram02.jpg"

 このグラフを見ると、1000 hPaで温度が同じ乾燥断熱線と湿潤断熱線は、高度上昇とともに、線が開いて行き、温度の低下の割合が異なることが分かる。そして、乾燥断熱線と湿潤断熱線の差は、1000 hPaでの温度が高い場合ほど拡大してる。それは、空気中に含むことができる水蒸気量が温度が高いほど多いからである。その空気中に含むことができる水蒸気量は、飽和混合比の値で示されている。

 1000 hPaで気温40 ℃では、飽和混合比が40 g/kg近くあるが、1000 hPaでの気温が-20 ℃では、飽和混合比は0.8 g/kg しかない。そのため、1000 hPaでの気温が-20 ℃の場合では、乾燥断熱線と湿潤断熱線は、上空に向けて、ほとんど差が開かないのである。

(2011.4.8)


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