等飽和混合比線を描く
混合比一定の条件下で気圧(高度)が変化した場合に、露点温度がどのように変化するかを示すのが等飽和混合比線である。等飽和混合比線は、エマグラムの中に書き込まれている線群のうちの一種類である。今回は、この等飽和混合比線を描いてみよう。
混合比 は、(混合比と相対湿度の関係をグラフにする)で導いたように、以下の式で表される。
上の式を、水蒸気圧 で解くと、
となる。一方、露点温度 は、(気温と露点温度から相対湿度を求める)で導いたように、以下の式で表される。
この露点温度の式の右辺の水蒸気圧 に、混合比を用いて表されたひとつ前の式を代入すると、
が得られる。この式を用いると混合比と露点および大気圧との関係のグラフを描くことができる。
ここで、 は、水の三重点の温度を絶対温度で表したもので、 である。 は、水の三重点における飽和水蒸気圧で、 である。
水蒸気の気体定数は 、水から水蒸気へと相変化する際の潜熱 は、 である。
飽和混合比線の計算には、単位に関係する若干の注意点があるほかは、容易である。幅の広い表を作成したため、文字が小さくなっているが、計算結果を以下に示す。
1行目に、混合比を0.02から200まで目盛った欄を用意した。列Aはヘクトパスカルで示した大気圧の目盛りを用意した。B2セルに書き込んだ数式が数式バーに見えているが、文字が細かいので以下に書き直した。
=1/(1/273.16-461.7/2500000*LN(B$1/1000*$A2*100/(611.73*(0.622+B$1/1000))))-273.15
ここで注意しなければならない点は、混合比の値にはg/kg単位の数字を用いたが、g/gで計算する必要があるため、参照した値を1000で割る必要がある。また、気圧の軸の値にヘクトパスカルを用いたため、計算式では、参照した値に100を掛ける必要がある。また、計算式で得られる露点温度の単位は絶対温度であることから、最後に273.15を引いている。
上に示した式を、その他のすべてのセルにコピーすれば、計算は終了である。ただ、この計算結果を散布図で描いたら、表の構造をエクセルがうまく認識しないため、グラフにするには少々手間がかかった。手間をかけて作成したグラフを以下に示す。
上のグラフを見ると、混合比4 g/kgの等飽和混合比線が大気圧1000 hPaと交わる気温は約1 ℃、200 hPaと交わる気温は約-20 ℃と読める。混合比20 g/kgの等飽和混合比線が大気圧1000 hPaと交わる気温は約24 ℃、200 hPaと交わる気温は約0 ℃と読める。
上に示したグラフは、より狭い範囲を拡大して表示させたものだが、エクセルの片対数グラフの表示機能が十分でないため、細かい数値を読み取るのは難しい。
(2011.3.28)
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