横軸を温位とした熱力学図を描く (2)
前回は、横軸を温位として等温線を描いた。今回は、横軸を温位とした等飽和混合比線を描いてみよう。等飽和混合比線とは、混合比一定の条件下で気圧(高度)が変化した場合に、露点温度がどのように変化するかを示したものである。横軸を気温として等飽和混合比線を描く方法は、等飽和混合比線を描くで説明した。
混合比について復習すると、混合比は以下の式で表される。
上の式を、水蒸気圧で解くと、
となる。一方、露点温度は、(気温と露点温度から相対湿度を求める)で導いたように、以下の式で表される。
この露点温度の式の右辺の水蒸気圧に、混合比を用いて表されたひとつ前の式を代入すると、
が得られる。この式を用いると混合比と露点および大気圧との関係のグラフを描くことができる。
ここで、は、水の三重点の温度を絶対温度で表したもので、である。は、水の三重点における飽和水蒸気圧で、である。
水蒸気の気体定数は、水から水蒸気へと相変化する際の潜熱は、である。
各混合比の値をこの式に代入し、各気圧の値に対する露点温度を計算すれば、横軸を気温とした飽和混合比線を描くことができる。この計算結果を横軸を温位としたグラフにするには、下に示す式を用いて温度を温位に変換する必要がある。
以前等飽和混合比線を計算したときに、エクセルのセルに代入した数式は以下のものであった。
=1/(1/273.16-461.7/2500000*LN(B$1/1000*$A2*100/(611.73*(0.622+B$1/1000))))-273.15
横軸を温位としたグラフにするには、上の式に、温度を温位に変換する項を追加して得られる以下の式を用いることになる。
=1/(1/273.16-461.7/2500000*LN(B$1/1000*$A2*100/(611.73*(0.622+B$1/1000))))*($A$11/$A2)^0.28571-273.15
この式を、縦軸と横軸となるセル以外のすべてのセルにコピーした結果を下に示す。
計算結果をもとに作成したグラフは以下の通りである。このグラフは、温度を横軸として作成した結果をもとに作成したため、面倒な作業をせずに作成できた。
等飽和混合比線も乾燥断熱線と同様、温位を横軸とすると、温度を横軸としたときの線とは傾斜方向が逆となる。
(2011.4.19)
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