微小水滴形成への溶質の影響 (1)
右辺の第2項は、水滴の半径に反比例しており、水滴の半径が減少すると相対湿度が上昇するという水の表面張力の効果を表している。は係数である。
ここで、は水の表面張力、は水の密度、は水蒸気の気体定数である。また、は水の分子量、は溶質の分子量、は溶質の質量である。
この式の右辺第3項中の定数をまとめると、以下のようになる。
上の式中、水の密度として1立方cmあたり1.0の値を用いているが、1立方μmあたりとすると10の12乗倍する必要がある。そこで、この定数を、としたケーラーの式がシュトゥールの教科書に出ている。
ここで、先にファントホッフ係数を計算した化合物における分子量との値を下表に示した。
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シュトゥールの教科書には、溶質の質量をとした計算結果のグラフが示されている。それと同じものをエクセルで作成してみよう。
計算結果のグラフを以下に示す。黒い線が純水における値で、水滴の半径が小さくなると、相対湿度が上昇して過飽和状態となる。一方、溶質が溶け込んでいる場合は、水滴の半径が小さくなるほど、相対湿度が急激に減少している。
以下に示すのは、シュトゥールの教科書にも掲載されている拡大図である。エクセルのグラフでは、横軸と縦軸の範囲を指定することで、このような拡大図は容易に作成できる。現実の大気現象では、過飽和度が1%を超えることはまれであるとされるが、溶質が溶けている場合には、そのことが納得できる図となっている。
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