コリオリの力 (4)
地球のような球体では、コリオリの加速度には水平成分と垂直成分とがあり、その大きさが物体の速度に比例すること、及び緯度によって変化することを前回までに示した。気象学で問題とするコリオリの加速度は、このうち水平成分のみである。コリオリの加速度の垂直成分が、重力加速度の0.1%以下の大きさであることから、その力が大気の運動に与える実質的な影響を無視できるからである。一方、水平方向のコリオリの加速度は、大気の運動方向を変化させる力として作用する。
前回示したように、速度 の物体に作用するコリオリの加速度の水平成分は、
となる。このコリオリの加速度を物体の速度で除したものはコリオリ・パラメータといわれ、通常 で表され、以下の式のようになる。
ここで、
であるから、その2倍の値は、
となる。そして、
となることから、中緯度では は10のマイナス4乗のオーダーの値となる。
北半球では、コリオリの力は風向に直角に右方向に作用する。南半球ではその逆に、風向に直角に左方向に作用する。
上の図に示すように、北半球で風が北向きに吹いているとき、コリオリの力は東向きに作用する。風向が 軸の値が増加する方向に向いているとき、コリオリの力は 軸の値が増加する方向に作用する。このことから、この場合に単位質量の大気に作用するコリオリの力は となる。
一方、上の図に示すように、北半球で風が東向きに吹いているとき、コリオリの力は南向きに作用する。風向が 軸の値が増加する方向に向いているとき、コリオリの力は 軸の値が減少する方向に作用することから、この場合に単位質量の大気に作用するコリオリの力は となる。
任意の方向に向けて風が吹いている場合でも、風速を 成分と 成分に分解して考えれば、それに対応するコリオリの力の 成分と 成分が計算できることから、それらを合成することによって、その風(大気)に作用するコリオリの力を求めることができる。
以上をまとめると、北半球で風速の 成分が 、風速のが 成分が の風(単位質量の大気)に作用するコリオリの力の 成分 、と 成分 は、以下の式で与えられる。
上の式で示されるように、コリオリの力は風速にコリオリ・パラメータ を掛けた大きさであるから、同じ風速の風に作用するコリオリの力は高緯度の場所ほど大きくなる。
今回はエクセルの出番がなかった。
(2011.10.6)
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