ライラックに作られたヒヨドリの巣・産卵・孵化・旅立ち2020年


ライラックに作られたヒヨドリの巣・産卵・孵化・旅立ち2020年

2020年6月9日
2020年6月9日(火)午前、庭の見回りをしていたらライラックの木に、幅の狭い長いビニールテープが巻き付いていた。どこかから飛んできたか、カラスがいたずらをしたかと考え、からみついたテープを時間をかけて取り除いてごみとして片づけた。今から考えれば、かわいそうなことをしたものだ。

すっかり片づけてしまったのだが、なんと3日後には巣は完成していた。営巣作業を見ることはなかった。いつ作ったのだろうという感じだ。

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ところで、作られた場所は門から玄関への通り道にあり、通りから2mぐらい入った場所で、高さは1.5mである。人間からの脅威がずいぶん高いところなのである。人間が近くにいることから、カラスなどの天敵からは守られるかもしれない。また、高いところに巣を作ると、ヒナが巣立つまでの間に強風などの天災に襲われる可能性もあるかもしれない。後で知ったことだが、ヒナは巣立つときはまだ飛べず、地面に落ちて、そこで羽の力を養うとのこと。そのため、あまり高いところでは地面に落ちる際にけがをする可能性があるのだろう。

巣のある場所まで歩いた映像である。なお、撮影したのはヒナが誕生してからである。

巣のある場所

2020年6月17日
5日後の6月17日には親鳥が巣の中にいた。
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じっとして動かないので、卵を温めている態勢と思われた。
いつみても同じような姿で、じっとしていた。
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親鳥はほぼ1日中巣の中にいた。ただ、早朝のある時間帯は比較的長時間にわたって親鳥が巣にいないことに気がついた。
その時間帯を狙って巣の中の様子を撮影した。
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2020年6月21日
これは6月21日に撮影した巣の中の様子。卵が4個あった。

6月22日(月)には低気圧を伴う前線が通過し、風雨が強まった。我が家の最大瞬間風速は19:10には15.6m/sを記録した。高い木に巣が作られていたら、大変なことになったかもしれない。なお、巣は丁寧に作られており、一番外側で長いビニールテープが丹念に木の枝に巻き付けられている。

産卵から孵化までは2週間程度とウエッブで見られるいろいろな記事に書かれていた。
6月12日には卵を温めていたので、26日で2週間になる。26日の朝の巣の中の様子を下の写真に示す。
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2020年6月27日
27日になっても卵のままだった。これが卵の状態を確認した最後の写真である。
卵の位置や姿勢は日々少しずつ変化していた。
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2020年7月2日
あまり干渉しないことを基本にしていて、7月2日(木)までそっとしておいた。

なお、7月1日の夜には大雨が降った。これは7月2日の昼頃の巣の中の様子。

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卵が割れてヒナが見える。卵の殻は4個分はないようだ。4羽のヒナがいるように見えるが、大小の差が見える。

ライラックの木の外側から巣の中を覗いた様子を以下の動画で示す。
7月2日昼の巣の中のヒナ

ヒナによって元気さが異なる。

2020年7月3日
ヒナが誕生すると、巣はヒナに占領され、親鳥は餌運びで訪れて、すぐに去っていく。こちらが近くにいると、近くの電線の上などで、キーキーと鳴き声を上げ続けている。

我が家の光ケーブルにとまる親鳥の姿を示す。
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カメラを向けたら、こちらを向いて、キーキーと鳴いた。
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盛んにキーキーと鳴く。親鳥がつがいで来ているのかどうかはわからない。連れ合いに警戒を呼び掛けているのだろうか?
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7月3日には、少し離れたところでもヒナのキューキューいう鳴き声が聞こえてきた。

7月3日早朝の巣の中のヒナ

2020年7月4日
7月4日は、九州でこれまで経験したことのないような大雨となっている。球磨川が氾濫したとラジオが伝えていた。当地も昨晩からずっと雨で、朝6時で降水量が30㎜を超えている。天気概況文では夜間の天気概況は「大雨」となるのだが、この基準は最近の状況ではピンとこないかもしれない。ただ、統計の接続を考えると、12時間で30㎜以上を大雨とする基準は変えられないだろう。

この雨の中、ヒヨドリのヒナを撮影しようと、巣に近づいてスマトフォンをライラックの木に不用意にいれてしまった。親鳥が、飛び出してきた。こちらも「しまった」と思って、雨の中玄関の方へ急いで戻ったが、なんと親鳥もそちらに逃げたので、あたかも追いかけているような状況となってしまった。しばらくの間、親鳥はキーキー鳴き声を上げていた。かわいそうなことをしてしまった。

ヒナが巣を占領しているので、この時間親鳥はいないものと安易に考えてしまった。また、雨の中、十分な状況観察を怠っていた。ライラックの木は雨に濡れ、普段は観察できる巣の状況も見えにくかった。後から考えると、親鳥は、巣の上で、ヒナに雨がかからない態勢をとっていたように思う。

7月4日早朝に熊本県の人吉市など、九州南部で大規模な洪水災害が発生した。当地では、明け方まで続いていた強い雨は、午前8時に急速に弱まった。巣を除きに行くと、いつも通りこの時間帯は親鳥は外出中だった。スマートフォンを差し込むと、ヒナは気配を感じて親鳥と勘違いして、盛んに鳴き声を上げる。かわいそうなので、あまりこれをやってはいけないと思った。

7月4日午前8時11分の巣の中のヒナ

2020年7月5日
7月5日も梅雨空であり、午前中に降水があった。親鳥がヒナのための餌をくわえて巣に飛んでくるのは室内から確認できる。用心して、一旦付近の電線にとまり、それから近くの背の高い木の枝にとまり、周囲を確認してから巣に飛び込んでいく。

孵化するまでのように、巣にずっととどまることはなく、また巣の滞在時間も短いようだ。今日の昼すぎにお邪魔して撮影したヒナの様子を示す。

7月5日午後2時頃の巣の中のヒナ

2羽は気配を感じると元気よく口を大きく開けて餌をねだってくる。その両脇の2羽は眠っているようだ。

2020年7月6日
九州地方では大雨災害が継続している。当地は雨だが、災害を引き起こすようなものではない。それでも、早朝は写真撮影のために外に出るような具合ではなかった。午前10時過ぎには雨の降りは弱まった。そこで、10時半ごろいつものようにスマートフォンを巣の上に差し込んでみた。しかし、これまでのように口を上にあげてくることはなかった。ヒナはじっとしていた

動きがないので写真撮影した。
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ヒナは目を開けて、こちらをじっと見ている。もう気配を感じて餌をねだる時期は過ぎ、目で親鳥を確認する時期になったのだろう。
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雨が強かったこともあり、寒いのでじっとしているのか?親鳥が巣を訪れる頻度も低くなっているような感じがするがどうだろうか?

2020年7月7日
九州の大雨被害はさらに拡大している。当地は雨が降っても小雨。

ヒヨドリの巣は水道メーターの真上にある。毎朝、電気、ガスと水道の使用量をチェックしている関係上、ヒヨドリの巣の下に行く必要がある。今朝もヒヨドリに迷惑をかけないように中腰でライラックの木の下に行ったが、親鳥がバサバサという羽音を立てて飛び立ち、しばらくキーキー鳴いていた。 こちらが朝食を終えて、親鳥がいないことを確認して巣の中を撮影した。
3羽がくちばしを広げてきた。邪魔にならないように、最小限の時間で撮影しているため、ピンボケである
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親鳥がすぐには戻ってきそうもないので、動画も撮影した。今度は2羽だけが反応した。

7月7日午前9時28分の巣の中のヒナ

2020年7月8日
洪水災害は、西日本から中部地方に拡大し、今朝気象庁は岐阜県と長野県に大雨の特別警報を発表した。飛騨川が氾濫している。当地は曇り空の夜明けだった。朝からヒヨドリの親鳥の鳴き声がけたたましく聞こえていた。朝の日課の庭の見回りも、巣のそばは遠慮した。

午前8時半頃までは穏やかに過ぎていった。その間に朝食、ごみ出し(今日はプラスチックごみとペットボトルを集積場に出す日。多くの人が前日から出しているが、収拾の直前に出すことにしている)、道路清掃などを済まし、親鳥の鳴き声が少しおとなしくなったところで、巣を覗きに行った。そうしたら、4羽のひな鳥が巣のヘリから顔を出して外を見ていた。とてもかわいらしい光景だった。

7月8日午前7時45分の巣の中のヒナ

親鳥のこちらを威嚇しているのかもしれない鳴き声が聞こえている。
そして、巣の方へ手を伸ばした。

7月8日午前7時47分の出来事

親鳥がこちらの方に飛んできたと思ったら、巣の中のヒナが一斉に飛び出してきた。何が起こったかよくわからなかった。1羽のヒナのみ、すぐ下の柘植の植え込みの上に落ちた。その他のヒナは周辺にはいなかった。たぶんトビ立てたのだろう。親鳥の激しい鳴き声と、か細いキューキューという鳴き声が聞こえた。


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柘植の植え込みの上のヒナ


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柘植の植え込みの上のヒナ


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柘植の植え込みの上のヒナ

親鳥のけたたましい鳴き声が頭の上で聞こえている。家の中に入って、30分後に見に行ったら、ヒナはいなくなっていた。

午前8時50分ごろから、当地も南風7~8m/sの強風と、たたきつける雨が降った。雨は強くはならなかったが、強い風は継続した。旅立ったヒナには厳しい気象条件と思われる。

丁度1か月、ヒヨドリの巣作りから、産卵、孵化、旅立ちを見てきた。その間厳しい気象の日がかなりあった。日本各地で、それどころではない気象条件の所が頻出した。低い位置の巣であり、洪水が発生すれば、ヒナが巣立つことはできなかっただろう。ヒヨドリは農作物に被害を与えるといわれるが、たくましく育ってほしいと思った。

昼前、買い物から戻ってきたら、家の前の南側の道路にヒナが1羽たたずんでいた。これは交通事故の危険性が高いので、庭の方に誘導しようとしたら、親鳥がけたたましい鳴き声を上げながら降りてきて、ヒナを私のそばから追い払った。ヒナは、道路の反対側の家の庭に逃げ込んだ。しばらくそこにいたが、昼食後見に行ったらいなくなっていた。

その後も餌をくわえた親鳥が飛んでくるのを見かけた。我が家の庭木の上の方からはヒナの鳴き声と思われる小さな鳴き声が聞こえてくるとともに、親鳥の大きな鳴き声が1日中していた。

夕方になっても、ヒナを心配していると思われる親鳥が、鳴きながら家の樹木の間を飛び回る姿を目撃した。暗くなって、鳴き声は聞こえなくなった。

2020年7月9日
今日も日本各地で大雨が降っている。当地も、明け方から雨が降ったりやんだりが続いている。明るくなるとともに、親鳥の鳴き声が、カラスの鳴き声と混じって聞こえてくる。今日は我が家周辺では普通ごみの収集日で、カラスが集まってくる日である。

北側の道路清掃を終えて、収拾したごみを南側に運ぶ際に、シャクナゲの枝の低いところで雨宿りをするような姿のヒナを1羽見つけた。写真はピンボケであるが掲げる。


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10分ほどしてから見に行くと、すでに姿は消えていた。

ひな鳥の小さな鳴き声はあまり聞かなかった。一方、親鳥の甲高い鳴き声は1日中、聞こえていた。今日は1にち中小雨が降ったりやんだりで、夕方暗くなるのが早かった、17時10分ごろ、雨戸を閉めていたところ、遠くで聞こえていた親鳥の鳴き声が、目の前にでした。口には、ミミズのような長細い餌をくわえ、それをくわえたまま甲高い鳴き声を上げてヒナを探しているようだった。こちらと目が合っても、しばらく鳴き声を上げていたが、やがて飛び去った。ほどなく鳴き声が聞こえなくなったので、ヒナが見つかったものと確信しているのだが、どうだろうか?

2020年7月10日
今朝は5時ごろからヒヨドリの鳴き声が盛んにしているのを寝床の中で聞いた。もうわが家周辺に居ついてはいないようだ。9時半ごろ、親鳥よりは鳴き声が小さいヒヨドリの鳴き声を聞いた。あたりを探すと、小さいが、一生懸命羽を羽ばたかさせて、かなりのスピードで周囲を飛んでいる鳥をみつけた。我が家から旅立ったヒヨドリが出生地にちょっとの間里帰りしたものと信じたい。家の周囲を一回り飛んだ後、かなりのスピードではるか彼方に飛んで行ってしまった。

昼食を終えて、気象観測ステーションのある2階南側の部屋から外を見ていたら、ヒヨドリが静かに飛んできて電力引き込み線にとまった。目の前1.5mぐらいの所である。窓を開けると逃げていくだろうと思い、ガラス戸越しに撮影した。


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産毛がバサバサ出た感じは、これまでよく見てきた親鳥のすべすべした羽毛の感じと明らかに異なる。しかし、ずいぶん大きい。ここまで一挙に大きくなったのだろうか?


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ゆっくりと毛づくろいをしていた。


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このひよどりが、あのひな鳥の1羽なのだろうか?ずいぶん長い間休憩し、やがて音もたてず飛び去った。

2020年7月11日
今朝は、ヒヨドリの鳴き声は一切聞こえない。昨日の姿でしばしの別れとなったかと思ったが、午後になって上下動の大きな飛び方をするヒヨドリが1羽家の周囲を飛んでいるのを目撃した。

話は違うが、午後に買い物に出た際、セミの鳴き声を聞いた。

2020年7月11日
今朝もヒヨドリの鳴き声は聞こえなかった。ところが10時10分ごろ、1羽のヒヨドリがすぐそばの電力線にとまった。しばらく止まっていたが、撮影する暇もなく飛び去って行った。上下動の大きな飛び方から親鳥ではないと思われる。しばらくするともう1羽が飛んできて、同じような場所にとまった。これもすぐに飛び去ったが、その後この2羽が連れ立って周囲を上下動の大きな飛び方をして、互いの位置を保ちながら飛ぶのを目撃した。しばらくすると、鉄塔の上にとまった。ここには5分程度止まっていたので、姿を撮影することができた。


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もう1羽はマンションの屋上あたりにとまったものと思われた。しばらくすると、2羽連れ立って飛び去った。


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このヒヨドリがあのヒナだとすると、さらに大きく成長したことになるが、どうだろうか?

2020年7月16日
ぐずついた日が続いている。今日の昼すぎに2羽で連れ立ってやってきた。鳴き声に気づいて屋上に出ると、同じ電線の少し離れたところに並んで止まっていた。カメラを取りに戻っている間に1羽はいなくなっていた。


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(2020.07.16)

2022年春の野鳥