竜巻が発生した日の午前9時のエマグラム
2012年5月6日の午前11時から午後1時の間に茨城県つくば市で竜巻と認められるものが発生し、栃木県から茨城県にかけて竜巻と推定されるもの、茨城県の別の場所や福島県では竜巻の可能性が高いものが発生し、大きな被害を受けた。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
気圧(hPa) | 高度(gpm) | 気温(℃) | 相対湿度(%) | 露点温度(℃) | 風速(m/s)(kt) | 風向(°) |
---|---|---|---|---|---|---|
1000 |
43 |
19.1 |
69 |
13.2 |
2(4) |
105 |
925 |
707 |
17.2 |
54 |
7.6 |
13(25) |
200 |
900 |
941 |
16.3 |
52 |
6.4 |
14(27) |
213 |
850 |
1424 |
12.5 |
60 |
4.8 |
15(29) |
214 |
800 |
1931 |
9.9 |
46 |
-1.0 |
19(37) |
224 |
700 |
3023 |
0.9 |
46 |
-8.8 |
20(39) |
225 |
600 |
4236 |
-10.1 |
75 |
-12.6 |
25(49) |
228 |
500 |
5617 |
-19.1 |
47 |
-27.0 |
24(47) |
224 |
400 |
7240 |
-31.4 |
46 |
-38.0 |
25(49) |
236 |
350 |
8170 |
-39.6 |
67 |
-43.0 |
27(52) |
238 |
300 |
9208 |
-46.3 |
/// |
/// |
36(70) |
235 |
次に、特異点における測定値を示す。特異点とは、指定気圧面以外の高度で、測定値に顕著な変化が見られた高度である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
気圧(hPa) | 高度(gpm) | 気温(℃) | 相対湿度(%) | 露点温度(℃) |
---|---|---|---|---|
1000.2 |
26 |
19.4 |
71 |
14.0 |
944.7 |
528 |
14.7 |
90 |
12.9 |
917.8 |
774 |
17.3 |
51 |
6.9 |
846.1 |
1463 |
12.2 |
61 |
4.9 |
775.1 |
2193 |
8.5 |
37 |
-4.8 |
605.6 |
4165 |
-9.6 |
71 |
-13.4 |
595.9 |
4289 |
-10.5 |
79 |
-12.8 |
494.4 |
5701 |
-19.0 |
33 |
-31.0 |
457.6 |
6272 |
-23.0 |
35 |
-33.0 |
424.1 |
6823 |
-28.1 |
56 |
-33.6 |
366.3 |
7856 |
-36.7 |
37 |
-44.7 |
350.0 |
8170 |
-39.6 |
67 |
-43.0 |
346.9 |
8230 |
-40.0 |
58 |
-46.0 |
338.2 |
8404 |
-41.4 |
/// |
/// |
330.9 |
8551 |
-41.9 |
/// |
/// |
315.8 |
8866 |
-44.5 |
/// |
/// |
310.7 |
8975 |
-44.8 |
/// |
/// |
指定気圧面のデータだけを用いて描いたエマグラムが下に示すものである。 指定気圧面のデータだけを用いた場合、状態曲線は滑らかな印象を受ける。指定気圧面のデータに、特異点のデータを加えて描いた状態曲線を以下に示す。エクセルで描く場合、指定気圧面の表の下に特異点のデーターを書き込み、最優先するキーとして気圧を選択して、降順に並べ替えてからグラフを描く。
特異点のデータを加えることで、945 hPaから918 hPaの間にある逆転層が見えるようになる。
エクセルの表を使うと、その近似値を求めることができる。試行錯誤的に高度の値として923 hPaを代入すると、乾燥断熱線の温度が12.5 ℃、10g/kgの等飽和混合線の温度が12.6 ℃とほぼ等しくなることから、持ち上げ凝結高度はほぼ923 hPaであることが分かる。
続いて、自由対流高度(LFC)を求めることが課題とされた。持ち上げ凝結高度かる上空へは、空気塊は湿潤断熱線に沿って上昇する。持ち上げ凝結高度のポイントを通過する湿潤断熱線は、1000 hPaの高度で約15.8 ℃であり、この湿潤断熱線を赤の破線で記入した。この湿潤断熱線と状態曲線は、高度705 hPa付近で交わる。この高度が自由対流高度となる。
次の課題は、ショワルター安定指数(SSI)を求めることである。SSIは、850 hPaにある空気塊を乾燥断熱減率で持ち上げ凝結高度まで上昇させ、その後は湿潤断熱減率で500 hPa高度まで上昇させた時の気温を、500 hPa高度の気温から引いた値である。
このように、状態曲線に明らかな異常個所は見られず、ショワルター安定指数も-6 ℃以下といった極端に小さな値とはなっていない。Kインデックスを計算してみると、26.7であり、これも極端に大きな値とはなっていない。 |