写真だけを見ると、鉛弾丸に残された発射痕と見違えるような線条痕である。粘土質の土壌ならではの結果と思われる。同質の物体に対して付けられた工具痕(シャベルの先端で掬い取った痕)であることから、工具痕の比較の作業条件としては良好である。
容疑者が逮捕された場所に停車していた車のトランクから発見されたシャベルと、被害者の衣類や装備品が埋められていた場所に残された土の表面の工具痕を対応させることができたことは、容疑者と犯行を結びつける証拠としての価値は高い。このような証拠物件を採取できたのは、日ごろの工具痕鑑定で培った鑑識眼があってこそである。
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