雨雪量計でないゆえの誤測定


 降雪時、雪は雨量計の漏斗部分に積雪してしまい、雨量として測定されないようになる。そのため、積雪地帯で用いられる雨量計は、受水口をヒーターで温め、融雪を促す構造となっている。このような、積雪対策を施した雨量計を雨雪量計という。二重構造の外筒内の不凍液をヒータで保温して、受水口に入る降雪を融かす構造のものや、受水部にオイルを満たし、そのオイルを10℃程度に保持して降雪を溶かして水にし、溢水孔より降水を溢れさせて降水量を計測する構造のものなどがあります。

 雨量計と温度計が離れた場所に設置されている場合は、雨量計にヒーターを設置しても、気温の測定値に影響を与えない。ところが、ヴァンテージ・プロ2のように、雨量計の直下に温度センサーが設置されている場合、気温の測定値に少なからぬ影響を与えてしまうことから、降雪日が年間に1日、2日の場所では、そのような投資をせずに、雪が解けるまで放置し、合計降水量の測定だけを行うことになる。

 豪雪地帯では、たとえヒーターを設置した雨雪量計を用いても、豪雪時には雨雪量計の受水口の上に雪帽子ができてしまい、これが成長した所で、風で吹き飛ばされるという現象が発生し、降水量の正確な計測はそれほど簡単ではないという。

 2012年2月29日は、当地でも久しぶりの大雪となった。その時の雨量計の10分ごとの計測値と、我が家から北西約4kmの位置にある平塚アメダスの雨量計の10分ごとの計測値を比較したのが下の図である。

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 ともに、転倒升による計測結果ではあるが、アメダスは降水量0.5 mmごとにカウントしており、ヴァンテージ・プロ2は0.2 mmごとにカウントしている。分かりにくいグラフではあるが、アメダスの方が早い時期から降水量を計上し、自宅の計測値は遅れていることが読み取れる。

 降水量の計測値をそのまま比較したのでは分かりにくいが、積算降水量を比較すると、これらの降水量の計測値の違いがよく分かる。

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 アメダスの方が積算降水量の立ち上がりが早く、自宅の測定値は、それより大分遅れて増加している。最終的な降水量の相違は、測定地点の降水量の違いを反映している。

 アメダスは15:10に0.5 mmの降水を計測しているが、この雨量は、必ずしもこれより10分前に降ったものとは限らない。それまでの間に0.4 mm分が転倒升の中にたまっていて、15:00から15:10の間に0.1 mm分の降水があったことにより升が転倒した可能性もある。

 この時間帯、自宅の上の空は晴れており、降水は観測されていなかった。

 一方、自宅の測定値では、14時以降に何箇所かでグラフが滑らかでない部分がある。その時間帯に、雨量計の受水口にたまっている雪の融解を促進するために、雪をかきまぜる操作を行ったからである。

 この日の降水が、何時頃から雪であったのかは興味がある。自宅では、3:20から降水を計測している。午前5時には、外は真っ白となっていた。下のグラフは、降水初期の部分をかっく題したグラフである。自宅の雨量計の方が立ち上がりが早いのは、最小計測量が小さいからであろう。4:00以降は、自宅とアメダスの計測値の差が拡大していく。

 自宅の雨量計の積算降水量の増加傾向は、勾配がほぼ一定で増加している。これは受水口に貯まった雪の融雪割合が一定で推移したからであろう。
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 下に示すグラフは、積算降水量と気温の推移を示したものである。4:00に気温は0.9 ℃となり、これ以降は降水が雪であったことは確実であろう。そして、この時刻から積算降水量の増加が足踏みしており、受水口に雪がすぐには融けずに貯まりだしたのであろう。
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(2012.4.2)


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