オーム社の気象予報士試験 標準テキスト 実技編 補説06


日本海側の降雪の解説図

 オーム社の気象予報士試験 標準テキスト実技編のP160からP165にかけて、5.5.5 日本海側の降雪について詳しく解説されている。すでに述べたとおり、本書の天気図は小さいので、じっくり見ることはかなり苦痛を伴う作業となる。そのため、解説はそのまま信じて読むことになりがちである。

 本節の、日本海側の降雪の500 hPa 高度・渦度予想図の解説では、T=24(図5.5-39(a))で、日本付近の高度が下がっており、T=36(図5.5-41(a))で、日本付近の高度はさらに下がっていると解説されている。

 図5.5-39は下に引用するように、左側の(a)が500 hPa 高度・渦度24時間予想図、右側の(b)が地上気圧・降水量・風24時間予想図(気象庁提供)からなっている。

Fig5-5-39.jpg"

 図5.5-41は下に引用するように、左側の(a)が500 hPa 高度・渦度24時間予想図、右側の(b)が地上気圧・降水量・風36時間予想図(気象庁提供)からなっている。

Fig5-5-41.jpg"

 等高線が混んでいる上に、プラス渦度域に施された縦線により、小さな図を読み取るのはなかなか大変である。そこで、それぞれの図の左側(a)の500 hPa 高度・渦度24時間予想図のみを拡大して表示してみよう。

 下の図が24時間予想図である。

Fig5-5-39a.jpg"

 この図を見ると、北緯40度、東経140度の交点付近に、高度を示す5100の数字が見える。  一方、36時間予想図は下の図のようになる。

Fig5-5-41a.jpg"

 この図を見ると、北緯40度、東経140度の交点付近にある高度を示す数字は5220と読める。

 この二つの図の間で、高度5460以上の高度を示す等値線の位置は、ほとんど同じようにみえる。

 これらのことからT=36では、、少なくとも日本付近の高度がさらに下がっているとの解説は不適当と思われるのだが、どうだろうか?

 このように読み取り難い図を見る手段として、階調の反転が行われることがある。

Fig5-5-39aI.jpg"

 少しは数字が読み取りやすくなったであろうか?

Fig5-5-41aI.jpg"

 ここまで線が入り込んでいると、階調反転しても読み取りやすさはそれほど向上しないが、数字は若干読み取り易いかもしれない。

(2010/12/23)  



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