東京堂出版の新しい気象技術と気象学 シリーズ ③
「長期予報のしくみの 7 長期予報の上手な利用に向けて」の解説


「長期予報のしくみの 7 長期予報の上手な利用に向けて」の解説

 東京堂出版の「新しい気象技術と気象学」シリーズの「長期予報のしくみ」は、現在のアンサンブル予報を用いた長期予報、大気海洋結合モデルの概要、長期予報で利用される各種循環指数が平易に解説されている。

 6章までは順調に読み進めてきたが、7章に入って急に読みにくくなった。

 「7.3.1 長期予報の確率表示」は、図7.2と本文の内容が一致していないことから、きわめて分かりにくくなってしまっている。図7.2は以下のようになっている。

気候的出現率
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ある予報
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図7.2

 この図を基に本文を理解しようとする行き詰ってしまう。この図では、「80%の確率で平年並みか低い」気温が予想されていることにはならない。図7.2は以下のものと差し替えられねばならない。

気候的出現率
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ある予報
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図7.2

 これで本文をすっきりと読むことができる。

     続いて、「7.4 確率のついた季節予報の利用の例」に読み進むと、本書でそれまで少なかった数式や計算が出てくる。計算が苦手な人にとっては、数字が出てきただけで読みにくくなるが、計算結果に誤りがあると、計算に強い人は別として、自分に自信がないと読み進められなくなってしまう。

 P137の②仕入れ量1000個に対して見込まれる平均的な減収の計算は次のようになっている。

 (-300) × 0.60 + 0 × 0.30 + (-210) × 0.10 = 201.0 (百円)

 当然この式は、

 (-300) × 0.60 + 0 × 0.30 + (-210) × 0.10 = -201.0 (百円)

でなければならない。そうでなければ、減収となるべきところが増収となってしまい、訳が分からなくなり、その先を読み進められない。

(2012/8/15)  



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